こちらは地下都市で暮らす
少女ネバフィルが外の
世界へ飛び出し、都市の存続が
危ぶまれるうような陰謀に
巻き込まれていくお話よ。
地下都市かあ。いったい
どんな世界なんだ?
人々は「面」と呼ばれる作られた
表情を学ぶの。お金がある人ほど
複雑で豊かな「面」をいくつも
手にいれることができるわ。
でもネバフェルはこうした人々と
違ってもとから様々な表情を
面に出せるのよ。
地下世界では異質の存在な
わけか。そんなネバフェルが
何に巻き込まれどんな風に
対応していくんだろうな。
『ガラスの顔』
フランシス・ハーディング (著), 児玉 敦子 (翻訳)創元推理文庫
あらすじ
変化を続け迷路のようになっている地下都市のヴェルナ。
ここで暮らす人々は「面」と呼ばれる作られた表情を学ぶ。
チーズ職人の親方、グランディブルはある日一人の少女を見つける。
ネバフェルと名付けられた少女は、外の世界から隠されて育てられているが、ある日逃げたウサギを追って外の世界へと飛び出す。
やがて彼女は都市全体を揺るがすような陰謀に巻き込まれていく。
外の世界に飛び出した少女ネバフェル
たった一人で外の世界から身を潜めるようにして暮らしていたチーズの匠、グランディブルは一人の少女が迷い込んだのを見つけ、驚くとともに外の世界から隠すようにして育てます。
やがて好奇心いっぱいの少女に育ったネバフェルは逃げたウサギを追っていたところトンネルに隙間を見つけます。
行けると思っていなかった外の世界とつながっていることに気づいたネバフェルはその一歩を踏み出します。
良かれて思ってマダム・アペリンに親方の特別なチーズを渡してしまったことが気になり取り戻したいと思っていたネバフェルは、通りかかった馬車からマダム・アペリンの屋敷に行くという声を聞きます。
近づいたネバフェルに警戒する様子を見せたのは賢そうな少女ズエル。
ネバフェルの事情を聞き、表情を作り出すフェイススミスであるマダム・アペリンが、様々な表情をさせるため訓練を行うパテ・ガールのオーディションにネバフェルを参加させると言います。
親方に「つけていろ」と言われずっとつけ続けた面をつけ、緊張しながらオーディションにのぞんだネバフェルですが…。
まとめ
人は教わった表情しか持たず、階級が上の者ほど多くの複雑な表情を持ち、下の者ほど限られた表情しか持ちません。
陽の光が当たらない中、都市を手にいれるべく多くの権力者が命を奪い合い、隙あらば相手の足を引っ張ろうと目を光らせています。
そんな世界にやってきた少女、ネバフェルは知識もなく、とても無力ですが彼女には止まることのない多くの感情を現す「顔」があります。
彼女が外の様々な世界を知り、さらに複雑な思いと表情を手に入れたとき、まさに世界は音を立てて動き始めるのです。
少女の勇気と成長に胸が熱くなる極上のファンタジーです。
<こんな人におすすめ>
作られた表情で感情を示す地下世界に迷い込んだ少女の冒険の物語に興味がある
異世界から迷い込んだ少女が様々なものを見て成長していく姿を描いたファンタジーを読んでみたい
フランシス・ハーディングのファン
何も知らなかったネバフェルが
現実を知ることで成長していく
姿に胸が熱くなるぜ…。
ファンタジーではあるけれど
現実世界に通じるものがあるわ。
そして表情は人間であるために
大切なものなのよね。
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