
こちらは女探偵・葉村晶の
シリーズ第7弾よ。
ある私立学園の理事長から
人探しの依頼を受けた晶が
様々なトラブルに見舞われるの。

『タフで不運な女探偵』だからなあ。
しかし、単なる人探しにどんな
問題が潜んでいるっていうんだ?

理事長からは周囲の誰にも
知られないようにという条件で
ある女性を探すように言われるの。
でもその女性の関係者が理事の
一人だったりと何やら不穏なつながりが
見えてくるのよ。

ほうほう。あちこち体にガタが
来ているのを自覚しつつ
どんな風に真実に迫っていくのか
楽しみだぜ。
『まぐさ桶の犬』若竹 七海 (著) 文春文庫
あらすじ
ミステリ専門店のアルバイト店員にして白熊探偵社におけるただ一人の調査員、葉村晶は寄る年波に逆らえず体力も記憶力も眼も歯も衰えつつあった。
そんな女探偵、晶のもとに魁星学園元理事長から、秘密厳守の人探しの依頼が入った。
一筋縄ではいかない関係者たちに苦労しながら、古い緑色の小型車「毒ガエル」で奔走する晶に追跡者の影が迫る。
人探しをしていただけなのに
隣人である奥村香苗のボディガードとして彼女の親族の会合に出席した晶。
そこに出席していた魁星学園元理事長の乾巌・通称カンゲン先生から「稲本和子」という名の女性を探し出して欲しい、と依頼が入ります。
そしてこのことは学園関係者にも親戚にも知られないように、との条件付き。
対象者関連の資料を見るため許可を得てカンゲン先生の書斎へと入ろうとしたところ、窓ガラスは割れて引き出しは飛び出したまま。
何者かが侵入した様子をカンゲン先生に伝えるも、警察には通報する必要はないとのこと。
どことなく腑に落ちない思いを抱きつつ、発見したカンゲン先生の日記から稲本和子の情報を仕入れ、古巣である東都総合リサーチの桜井の手助けを借りようとした際に、昨年魁星学園の理事が本を万引きしたとして逮捕されたが翌日留置所内で亡くなったというニュースを発見。
その女理事の名前は稲本亜紀。
彼女は稲本和子の娘でした。
判明した和子が住むマンションへ出向くも不在。
近隣の住民によると十日ほど姿を見かけないと言います。
彼女の夫である賀津彦が管理人をつとめているという、稲本不動産が開発し今は廃れている別荘地へ向かった晶ですが…。
まとめ
学園をめぐる後継ぎ問題とスキャンダル、そして見捨てられた別荘地に舞い込んだ再開発の提案。
単なる人探しだったはずが、強欲な関係者に振り回されたり、自分自身も目はかすみ、筋肉痛が遅れてやってきて歯茎の腫れもひかず時に更年期の症状も現れて、さらには何者かから命を狙われるハメに。
プライベートも仕事中も不幸に見舞われてしまう晶ですが、衰えてもやはり真実に食らい続ける姿はさすがとしか言いようがありません。
複雑に絡んだ事象と人間関係を解きほぐす晶の推理と50代のアクションに関心しきりのミステリーです。
<こんな人におすすめ>
優秀で不運な女探偵が老化を感じつつも人探しから事件に巻き込まれるミステリを読んでみたい
『タフで不運すぎる女探偵・葉村晶』シリーズのファン
若竹 七海ファン


今回もクセ強な登場人物が
たくさん出てくるなあ。
まともな晶が一番地味に
見えるぞ。

複雑に絡まりあった出来事を
自分の身体に鞭打って
真実にたどり着こうとする
晶のガッツに敬服するミステリーね。
女探偵・葉村晶のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。