
こちらは独特な感性と迅速果断な
実行力で魅力を放つ主人公、
成瀬あかりの活躍を描く物語よ。

ほう?その成瀬ってのは
いったいどんなことを
やるんだ?

『この夏を西武に捧げる』と宣言し
閉店間近になった西武大津店に
毎日通って地元のローカル番組の
中継に映ることにしたの。

え?毎日?夏休みって遊ぶために
あるのでは?毎日映って何に
なるのか…。気になるぜ。
『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 (著) 新潮文庫
あらすじ
中学二年生の成瀬あかりは、幼馴染の島崎みゆきに向かって宣言した。
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。
閉店を間近に迎えた西武大津店に夏休みの間毎日通い、地元のローカル番組の中継に映り己の姿を残すのだと言う。
さらにお笑いコンビを結成してM-1に挑み、高校の入学式は坊主頭で現れる。
破天荒でありながらもなぜかその姿から目が離せない主人公、成瀬の活躍を描く。
西武に青春を捧げる夏
小さな頃から頭がよく、足も速くて歌も絵も上手。
そんな成瀬はほめられてもそれを鼻にかけることなく飄々としています。
小五の頃には周囲の女子たちから無視されたりもしますが、本人の態度は変わらず自分の気になるものに没頭し、極めたシャボン玉にテレビの取材が訪れた翌日、クラスの一部女子に囲まれシャボン玉を伝授。
中二の今もマイペースでやっている様子の成瀬から「毎日西武に通う」と告げられた幼馴染の島崎。
中継の時間にテレビをつけるとマスク姿に制服、その上に何故か西武ライオンズのユニフォームを身につけた成瀬の姿が。
数日後には島崎もサングラスをかけて参戦。
Twitterでエゴサーチをすると「西武大津からの中継、いつもいるユニフォームの人が気になる」というつぶやきが。
二週目に入ると客から声をかけられることも。
通い続けた成瀬はやがて新聞の取材を受け、残すところあと数日。
「最後まで出られたらいいのだが」と珍しく弱気な発言をしていた成瀬だったが…。
まとめ
容姿端麗、成績優秀。
しかし周囲からの賞賛の声には淡々と答え、興味を持った事には周囲の目を気にすることなく全力で取り組む。
そんな成瀬を客観的に眺め、自身を凡人と称する島崎。
近所ではあるがひんぱんにやりとりするような間柄でもないものの、成瀬の「お笑いコンビを結成しM-1」に出場するという目標には相方となって練習に励みます。
様々な経験を重ねるにしたがって、他人との距離感や思いについてあまり考えが及んでいなかった成瀬の様子に変化が訪れます。
地元で、自分の信じた道を突き進んでいく成瀬が通った道には爽やかな一陣の風が吹き抜けるような清々しさを感じる、自由と地元愛に満ち溢れた元気をもらえる物語です。
<こんな人におすすめ>
我が道を行く、地元愛溢れるヒロインを描いた物語に興味がある
お笑いコンビを結成したり入学式に坊主頭で登場したりする破天荒なヒロインが活躍する話を読んでみたい
宮島未奈のファン


成瀬が近くにいたら絶対
応援しちゃうだろ、これ。
次は何をしてくれるのかなって
期待しかないぞ。

まっすぐと突き進むその強さを
持ちつつ周りとの関わり方の変化に
彼女の成長した部分も垣間見える
さわやかな青春物語ね。
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