『近いはずの人』 小野寺 史宜 (著) 講談社文庫
あらすじ
友人と旅行に出かけた妻の絵美は、自動車事故に遭いそのまま帰らぬ人となった。夫の北野俊秀は喪失感を抱えた日々を過ごし、残された妻の携帯電話のロックを解こうと「0000」から順に数字を入力していく。とうとう解除された時、そこにあったメールは、知らない男とのやりとりだった。
妻の携帯電話には知らない男とのやりとりが
二十九歳で同じ歳の絵美と結婚、子供はおらず、三十三歳で絵美は亡くなりました。旅先で乗ったタクシーで宿に向かう途中、車ごと崖から落ちたのです。友人と一緒のはずなのに一人でいたこと、その友人について、自分はなぜ妻に詳しく聞かなかったのかと俊秀は考えます。そして妻の携帯電話に残されたメールは、事故当日の、男性らしき相手とのやりとりで…。
まとめ
近くにいたはずの妻の、知らない部分が明らかになるにつれ、妻や妻の周囲の人間を責める気持ちと妻への愛情、そして妻を理解しようとしなかった事実に直面し、苦しむ俊秀。大事だから触れられない部分もあるけれど、そののままでは膿んでしまうこともあります。傷をさらけ出し、膿も出し切ることが時には大切なのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
愛する人を失った悲しみと知りたくなかった事実を知る苦しみを描いた話を読みたい
相手のことを理解するとはどのようなことかを描いた話に興味がある
小野寺 史宜のファン
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