こちらは『ちびねこ亭の思い出ごはん』
シリーズ第九弾よ。祖母が焼いてくれた
パンの味が忘れられずに
パン職人への道を目指す女性の物語よ。
へえ〜。パン職人かあ。
その道に順調に進んで
いるのか?
老舗ベーカリーに就職したものの
パン職人としての腕を求められて
いないことを知り辞めてしまうの。
亡くなった祖母の家で一人、
老犬とともに暮らすことにしたの。
なるほどなあ。それはつらかったな。
のんびり過ごして元気になれると
いいけど。
『ちびねこ亭の思い出ごはん 茶トラ猫とたんぽぽコーヒー』
高橋由太 (著)光文社文庫
あらすじ
母方の祖母が焼いてくれたパンが大好きで、専門学校を出てパン職人になった門奈かりん。
老舗ベーカリーに就職したものの、求められていたのはパン作りの腕ではなかったことに傷つき会社を辞めます。
部屋に閉じこもる日々の中、大好きだった祖母が亡くなり、祖母の家でしばらく暮らすことに。
パン職人を目指したかりんの挫折と再出発
高校では成績が良く、教師にも大学進学を勧められたかりんですが、祖母の焼いてくれたパンの味が忘れられず専門学校へ。
卒業後は老舗ベーカリーへの就職が決まり、祖母も喜んでくれました。
しかしかりんが求められたいたのはパン作りの技術ではなく、Youtubeでの広報担当としての「見た目」でした。
このことで深く傷ついたかりんは会社を辞め、部屋に引きこもります。
そんな時、祖母が亡くなったという知らせがあり、無人となった祖母の家で彼女の飼っていた犬、ハヤトと暮らすことにしたかりん。
ハヤトの散歩で近所を散策していると、オープンしたばかりのカフェのようなパン屋を発見。
何でもベテランのパン職人さんが体調を崩してしまったため、新しいパン職人を探しているのだとか。
何かに導かれたかのように感じたかりんはその場で働きたいという意志を伝えます。
翌日はオーナーと、ベテランの女性パン職人とも面談しこの店で働くことに。
病院に通っているという女性パン職人、有美が出勤する時はパン作りを教えてもらい、それ以外の日はかりん一人でほぼ全てのパンを焼くという大変ながらもやり甲斐のある日々を送っていたのですが…。
まとめ
パン職人への道を目指してきたかりんが味わった挫折。
それくらいの事で、我慢すればいいのではという声もあるかもしれませんが、彼女がそうできなかったのは何かに替えることのできない、とても大切なことだったから。
それを誰よりも理解し寄り添ってくれた祖母を亡くしたかりんは、祖母が暮らしていた家に住み、新たな出会いを得て一歩を踏み出していきます。
新たなフィールドでかりんが会いたいと思った相手と伝えたいこと。
それは彼女が困難もあるであろう未来への道へ進む、新たな決意につながっていったのかもしれません。
縁と絆にあたたかな涙が流れる物語です。
<こんな人におすすめ>
傷ついた心を優しく癒す、亡くなってしまった大切な人に出会えるカフェの話を読んでみたい
『ちびねこ亭の思い出ごはん』シリーズのファン
高橋由太のファン
前を向いて歩いているってことが
喪ったものに向けた
何よりもの供養なんじゃないかな。
どこかで見守って応援して
くれているのかもと
感じさせてくれる
心が温かくなる物語ね。
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