彼らの「本当」は画面の向こうに存在する

のこ
のこ

こちらはSNSなどをテーマにした

三つの短編集よ。

ぬこ
ぬこ

ああ、バエバエ言ってる

若者たちのことだろ。

のこ
のこ

そうね。こちらに出てくるのは

30代後半などの、中年世代ね。

ぬこ
ぬこ

そんな年代でバエバエ言ってんの?

一体どんな奴らなんだ??

『静かに、ねぇ、静かに』  本谷 有希子 (著)  講談社文庫

あらすじ

東京から離れ、農業をしながら暮らす、三十九歳の僕。Tシャツ屋のヤマコ、実家で親と暮らす四十二歳のづっちんの三人でクアラルンプールへ旅行する。

自分たちの行動の一部始終を撮影し、編集し、インスタにアップする。そこに僕らの全てが存在し、彼らの言動がヴァイブスとなり、喜びとなる…。「幸福」とは何なのかを問う三つの短編集。

インスタの中に真実を求めるちょっとイタい男女たち

三十代後半〜四十代前半の男女三人組が、海外旅行へと出発。結婚や仕事などの社会的規範に囚われず、金に縛られず、自由と感謝の気持ちで過ごしているのが彼らの共通点です。

その一方で周囲に迷惑をかけていることについては無頓着で、むしろ撮影してネタに昇華させることも。写真うつりや構図を常に考え、インスタにあがった世界が真実である彼らが、旅先で出会った事とは。

まとめ

インスタという「枠」を通して自分の存在を確認する彼らは、他人の存在も、そして自分の存在さえも曖昧になっているようです。痛み、衰え、危険などに目をつぶり、加工された世界しか認めない彼らに待ち受ける結末はやはり現実と隔絶されたものだったのです。

<こんな人におすすめ>

SNSを通して自分の存在を感じる者達を描いた話に興味がある
「幸せ」とは何なのかを描いた話を読んでみたい
本谷 有希子のファン

ぬこ
ぬこ

うわぁ… イタイねえ( ̄Д ̄;)

のこ
のこ

自分自身に降りかかっている出来事に

リアルを感じられなくなっているという

ことは、判断力や行動にも問題が出てくる

可能性を示唆しているわね。

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